続:姿勢についてのアレクサンダー・テクニーク的考え方(作業中、演奏中の姿勢について)

先月書いた、「姿勢」をよくすることについての(私にとっての)アレクサンダー・テクニーク的考え方の続きです。 先月の話をまとめると よい姿勢、本来無理がないもの そして、よい姿勢は、動きのなかにあるもの そして、デスクワークや、作業中の姿勢、楽器を演奏しているときの姿勢についてまた書きたいというところで終わっていたので、続きを書こうと思います。 「よい姿勢」というと、イコール「まっすぐ」をイメージしている人が多いかもしれません。 私は、そうとは限らないと思うのです。 たとえば机の前に座ってペンでものを書くとき、 「まっすぐ座ろう」ということを意識して座り、 それからペンを持って紙に向かうと、 「ペンを紙に向かわせる」動きと、「座っている」という動きが一致していない、べつべつのものになってしまっていることがあります。 そうすると、「書く」動きを、手だけでやることになってしまいやすいのです。 手だけで「書く」ことをやると、手によけいな力が入りやすく、力が入っているわりにはその力が対象のペンと紙まで届かなくて、力強い文字が書きづらくなったりすることがあるのです。そして、そういうときは...
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アレクサンダー・テクニークを使った音楽大学での授業

今は夏休み中ですが、国立音楽大学で「音楽家のための心身論」という授業をやるようになって3年目になりました。 前期と後期、週1回、それぞれ計14回の授業をやっています。 「心身論」と言っても言葉で理論をしゃべるのが中心ではなく、少人数で参加型、実践中心に行っています。実践をとおして、心身に関する考え方を身につけてもらえたらと思っています。 定員20名で、学部全体の各専攻からの3、4年生の希望者から抽選された学生が対象。ピアノ、声楽、弦楽器(ヴァイオリンなど)、打楽器(ドラム、ティンパニなど)、管楽器(トランペット、フルート、トロンボーンなど)などを演奏される方々です。 椅子を円座に並べて、一方的に講師のほうを向くのではなく、 お互いの顔が見える形でまず座ってもらって授業ははじまります。 そして、講師の私が問題提起したり、簡単な動きをやってもらったりして、まずは自分の体に対して意識を持ってもらう、というところからはじめました。 「心身」のことを考えるときに、まず自分の体への意識を持ってもらうことが必要だと思うので。 それから、それが自分の演奏にどうかかわってくるのかを、実際に授...
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人の顔が見られなくてもいい(続:人前に立つときの緊張や、あがりについて)

きのうの投稿(「オーディエンスをお誘いする」って?)にも関連して… 人前で話したり、パフォーマンスをしたりするとき 「人の顔が見られない」と言う人は少なくないですね。 私もそうでした。 で、「人の顔が見られない」「でも見なくちゃ」 と思うと、「ああ、でも見られない」「でも見なくちゃ…」と、ループにはまってしまうのです。 ループしているうちにますます顔が赤くなってきたりして…。 実はあるときから私は 「人の顔を見なくてもいい」と決めたのです。 見ようとすることで圧倒されてしまうなら、べつに見なくていいと。 ただ、人が居ることには気づいていようと。 (というか、忘れたくても忘れないんですが…) 実は、見ようとすることも大変だけど、見ないようにすることも大変なのです。 圧倒されたくないからといって、人を視線に入らないようにするのは、後ろを向くか、目をつぶる以外にはむずかしい。 (でも実は昔、R.E.Mというロックバンドのコンサートに行ったとき、最後の曲でシンガーのマイケル・スタイプが後ろを向いて観客に背を向けて歌ってくれたことがあり、その歌はすばらしかったです。後ろを向いて歌って...
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「オーディエンスをお誘いする」って?(人前に立つときの緊張や、あがりについて)

教師になる前私は、人前で歌ったり演奏したりすることについて、アレクサンダー・テクニークのレッスンでよく見てもらっていたのですが、 歌をとおしたアレクサンダー・テクニークのレッスンのなかで、 人前に立ったとき「オーディエンスをお誘いするようにしましょう」 と、いつも言われる先生がいました。 私はそれがずっと、よくわからなかったのです。 でも、きのう、音大のクラスで教えていたとき、学生とやりとりしながら、あ、そうか、と、腑に落ちたことがありました。 その学生も、人前で歌うときに緊張してしまうことに悩んでいて、 「人の視線が刺さるようです」なんて表現されていました。 それで、 部屋にいる人たちを見るとき、 目で見ているのではなくて、頭の後ろで見ていることを思い出してみましょう? 頭の後ろ(=視覚野)にただ情報が入ってきている、 それに対して、ただ受け取るだけで、何もしなくてよいのです… 私は、そんなことを学生さんに言うのと同時に、 同時に、これから歌おうとしている歌の世界も、あなたは見ている。 情景とか、歌にこめたい想いとか、そういうものを見ている。 それも、視覚野でやってい...
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楽器の音が変わる/楽器の重さが変わる(ワークショップ報告)

きのうは「手を使うことと体全体」をテーマにアレクサンダー・テクニーク講座を行いました。 楽器を演奏する方が何人かいらっしゃいました(ビオラ、ギター、太鼓)。 「『アレクサンダーテクニークやると音が変わる』って聞きますけど、そんなことがあるんですか?」 と、初心者の生徒さんに聞かれたので、 そういうことも、よくありますよ、と言いつつ、 あとは実際にやってみて、みなさんに判断してもらうということに。 講座では、基本的なことをみなさんでやった後、後半、それぞれの方が気になっていることや、今とりくんでいることをやる時間。 ビオラとギター演奏も、順番にしていただきました。 まず一回弾いていただいて、 気づきが薄いところの気づきをうながしたり、動きを止めているところの動きを思い出したりするために、軽く触れてサポートしたりした後、 もう一回弾いていただきます。 ご本人たち、より楽しそうに、より楽そうになって、 聞いてる方も、「ぼんとに、音が変わりますねえ!」と。 体全体、自分全体を使えるようになると、音、変わりますね。 (註:変化は、その人、状況によって違うので、いつも違いが聴いて...
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