『毎日の「からだの使い方」からはじめる――実感!無駄な力がぬけてラクになる介護術 』 石井ゆりこ著

アレクサンダー・テクニークの考え方を元にした介護の本です。

介護をするとき、されるときに、お互いに楽になれるように、
また自分自身が、年齢を重ねても楽で丁寧に動きたいという人のために。
体の使い方だけでなく、意識の持ち方や考え方についても書かれています。
アレクサンダー・テクニークの入門書としてもどうぞ。

 

表紙画像:石井ゆり子 著 『実感!無駄な力がぬけてラクになる介護術』
  • 単行本: 192ページ
  • 出版社: 誠文堂新光社 (2013/5/14)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 441661358X
  • ISBN-13: 978-4416613580
  • 発売日: 2013/5/14
  • 価格: 1,890円

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著者メッセージ

この本は、介護にかかわるすべての方のために書きました。

ご家族の介護をしておられる方、これからされる方から、介護にかかわる専門職の方まで、介護にかかわる方が、燃え尽きたり、体を傷めたりすることなく、相手の方にかかわり、お世話をしたり手助けをしたりする日々を過ごせるように。

そして介護を受けている方の方も、自分ができることを自分でやって、できないところは助けてもらって、生きる意味と尊厳って生きられるように。  お互いに共同作業として、時にはつらいこともあるかもしれないけれど、そのなかでも生き生きと、意味のある時間が過ごせるようにという願いを持って書きました。

私自身は、介護の専門家ではなく、介護の経験も今のところ、少ししかありません。ただ、アレクサンダー・テクニークという、自分の使い方の方法を教えてきたなかで、介護のお仕事をされている方や、家で介護をされている方に多く出会うようになってきました。そのなかで、まず、介護をしている人が、「自分の使い方」に目を向けてみることによって、「自分の使い方」に目を向けつつ、相手の人とかかわることによって、介護が楽になったり楽しくなったり、日常のなかに介護がある人生そのものが、充実してきたという声をたくさん聞かせていただくようになってきました。

そういうわけで、この本を書くのが私でよいのかと、少し悩みましたが、普通の介護の本とは少し違うところから光をあて、違う考え方を提供することで、介護に悩んでいる人が楽になる手助けになればいいなと思っています。

あくまでたたき台として、こういう考え方もあるんだ、と、使っていただけたらと思います。この本が、介護のときにできることの可能性をひろげることに役立てば、とてもうれしいですし、また、介護する人、される人双方のあり方が、より豊かな、充実感のあるものになることに少しでも役立てば、うれしいです。

石井ゆりこ

もくじ

 

1章 自分のからだの使い方

  • 介護する人のセルフケア
  • 話を聞くこと、話すこと、決断すること
  • 今までと同じように動けなくなったとき
  • 首を楽に、頭と背骨の関係性
  • 首とそのまわり(頭や背骨)は、どんなふう?
  • 背骨全体の長さと骨盤
  • 頭と背骨(脊椎)を中心として、体全体で動く
  • 四肢のデザインと、体全体の動き
  • 腕について
  • 立ち方の癖
  • 足と脚
  • あご
  • けがをしたとき、傷めたときのリハビリについて

2章 介護する人・される人 お互いラクになる介護

  • 人は死ぬまで変化し続け、学習し続ける
  • 手をふれて介助する
  • 動くことを介助する
  • 立ちあがる
  • 座る
  • ベッドから起き上がる
  • ベッドから車いす、車椅子からベッドへの移乗
  • 歩く
  • 車椅子を押す
  • ふたたび、介護する人のセルフケア
  • おわりに
  • 参考文献
  • アレクサンダー・テクニークについて

 


本の感想

 

本を読んで、温かい気持ちになりました。

いろいろな介護術の本を読んでいるのですが、今まで読んできた本はやはりどこか、スキル、についてかかれている感じがしていました。

体のことを書いているのに、心のことを書いているような気がして、不思議です。

身構えをリセット、というのは、本当に身構えて固くしているなあと思わされます。

今はケアマネージャーなので、実際の身体介護にかかわる事はほとんど無いのですが、人の話を聴くなど、相手への向き合い方を少しでも丁寧にしようとあらためて思いました。

(C.F. さん)


今の自分にとって、ものすごくいいタイミングでこの本に出会えて嬉しくなりメールさせて頂きました。

施設で働き始めて4年目ですが、実は職場がどんどん苦痛になっていました。利用者さんに同じ訴えを何度も何度もされること、事故がないように細心の注意を払わなければいけないこと、職場の人間関係・・前はさほど気にならなかったようなことも負担に感じるようになっていて、そういう自分にもがっかりしていました。

本を手に取ってみて「あ、今思っていることが書いてある!」と思いました。まず「自分に気づくこと」と「Thinking(思うこと)」を大切にしてみること。具体的な介助方法について書かれているコーナーでも「まず自分」ということが書かれていて改めて「まず自分でいいんだ」と思いました。また「こういう声かけをしてみると相手に伝わりやすいですよ」という、私がちょうど迷っていることにも触れられていました。(「足を地面に着けてくださいね」など)

介護って「生活のこと」とわたしは捉えているのですが、 今までどうも現場で自分がやっていることって特別なこととして浮き上がってしまっていました。
でもこの本の中では、さりげなくごく自然に「生活のこと」としてのアレクサンダー・テクニークが見事に統合されて書かれてありました。

プライマリーコントロールについての説明も、あんなに分かりやすい記述って読んだことなかったです。

ボディマッピングについての説明もとても分かりやすく、スッと自然に私の中に入ってきました。このイラストも素晴らしいですね!! 画風はかわいらしい感じですが、骸骨の構造や動きが理解しやすい工夫がなされていて感激しました。特に座っている時の股関節と足の関係の分かりやすい骨格図って意外となかったのですが、これは「しっかり座っているけど股関節は自由」というのが一目瞭然です。介助者が利用者に触れている絵も「構えずに触れている」様子が繊細なタッチから伝わってきてすごくいいです!!

また「あごに隠れている部分は首の上部の前面です」という文を読んで初めて「あ、あごの後ろに首があるって忘れてた、そして首っていうと後ろ側しか意識してなかった」ということに気づきました。あごに力が入りやすいのですが、もしかしたら首の前側のことを忘れていたからかも、と思いました。

この本を読んで「もう少しここにいてみよう」と思いました。「Thinging」と「自分に気づきを向ける」ことにもう少し取り組んでみようと。今、悩んでいること、苦痛に感じていることがいつか自分が教える側になったときに役立つ経験になればいいなと思っています。

(S.K. さん)


介護術の本ですが、発想法や物の考え方、自分の体の使い方についてヒントが満載でした。

あとがきの、アレクサンダー・テクニークって何?の説明にある
「引き算の技術」というところに
むむむむっ!びびびびっ!と思うわけですよ。。

何かが足りないからできないという発想だと、
若い体、筋力がある体、パワーある体が最強、
加齢とともに身体機能が制限されていくことにかんしては、
どうしても悲観的な印象を持ってしまいます。

ですが本書では

「それぞれの人の中にすでにある資源を、どう、うまく使うか、「自分の中の、あるもの探し」をするための方法であり、アイデアです」。(p32)

「体というのは賢いので、体のついての知識が私たちになくても、動かそうと思うと、その信号を神経が伝達していって、必要なところを全部使って、動いてくれます。ですから、どう動くかについて、全部知っていないと動けないというわけではありません」。(p82)

「人間は死ぬまで変化し続け、学習し続ける存在です」。(p124)

という発想のもとに書かれていますから
力まなくても、無理をしなくても
意図した行動をとることができるのではないか?
という希望が見えてきます。。

ですから本書、介護の知識が必要な方にも、そうでない方にも一読をお勧めしたい本です!!
肉体を持って地球に生きている人すべてにおすすめな本☆

介護術と銘打ってありますが
本書の半分以上のページが
「自分のからだの使い方」を説いています。

自分のからだの使い方が理解できれば、介護の場合にも、どのようなサポートが必要なのか?
どのようにお手伝いすれば、介護される方が動きやすいのか?
推測することができるということなのでしょうね。

そして、
前半の「自分のからだの使い方」で
からだの使い方についてイメージを持ってから
介護する人・される人お互いラクになる介護
についての解説を読むと分かりやすいです。

本書に対する全体的な感想。
自分の体に対する信頼が深くなる
意識の持ち方や発想の仕方も変わるよ。。
人との関わり方や自分の生き方も変わってくるかも!

本書の短いフレーズやさらっとした表現の中に、むむむ!びびび!と来るところがいっぱいあり
付箋をつけながら熟読なり!
発想法が変わりそーだよ!

今、身近に介護を必要とする人がいなくても、
地域の集まり、さまざまな年齢層の方が一堂に会する場などで
何らかのサポートが必要な方とご一緒する場面は多いかと思われます。
ですが、適切なサポート方法が分からず、まごついてしまったり
お相手に居心地の悪い思いをさせてしまうことが考えられます。。
(かくいうわたくしも。配慮が足らず。。思い起こすと色々と冷や汗が。)

自分の体の使い方についての理解があれば、さりげない形でご協力できるでしょう。

石井ゆりこさまの文章は体にすっと入ってきます。
今まで自分の体に対して抱いていた、固定観念をやわらかく解きほぐしてくれますよ。。

そして、上品ですっきりとしたイラストも理解を助けてくれます!
本書で取り上げているテクニックを使う場合、意識を向ける方向やポイントが大切なので
イラストを描かれる方も細心の注意を払われたのではないかと推測されます。。

(Thalia さん)

※Thaliaさんのブログより。ご本人の許可を得て転載させていただきました。
http://astrologerthalia.blog34.fc2.com/blog-entry-2139.html

 


丁寧でわかりやすい文章とあたたかみのあるイラストで、とっても読みやすく、まるで、ゆりこ先生のレッスンを受けているかのように読み進みました。

読んでもらえたらいいなと思う友人の顔が、たくさん浮かんでくる本です!

私は、ささやきのアーのところの、「『アホ顔』になってしまいましょう。」のところが一番のお気に入りです。

ちょうど、この本が届いた頃、パートナーの病状に変化があって、ドキドキする事態が増えてきたので、この本が一貫して伝えているセルフケアの大切さに改めてふれることが出来て、読み終えた時には、涙が流れていました。

この本はこれからもずっと、私の助けとなってくれそうです。 本を書いてくださって、ありがとうございます!

(N.I.さん)


すばらしい本ですね.ゆりこさんらしいゆったりとした口調でまるで話しかけられているというか対話しながら読んでいる感じ.

アレクサンダー・テクニークのレッスンで、名古屋のM先生からここ2年間の間に集中的に習ったことが復習のように文字化されている感じがしてとても嬉しいですし,内容もよく理解できます.

ページにはゆるり行間があって,次の文に進む前に今目で追った文のことをちょっと思ってみる時間が用意されているし,イラストがゆったりとアバウトな感じで,もちろん急所は押さえてあってなおからだの未知の部分をふわーっとただよわせた感じがいいし,何よりも本文に文字通りの行間があることがとてもいいのです.印刷の色と紙の地色とのコントラストも目にやさしい.細かい配慮をなさってますね.

自分自身の体の使い方が楽になるにつれて,とても自由な気の流れの中で介護をしている夫と向かいあえる不思議さを実感しています.でもいつも理想的にというわけにはいきません.すぐ「疲れ」や「ストレス」という厄介者に心がかき回されます.

だから最終章が「建設的な休息」のセルフケアで締めくくられているのは,とても素敵な閉じ方,繰り返し明日へつなげていくための素敵な終わりなき終わり方だと思います.

(K.I. さん)


入院中に、病室で読んで実践していたので、身体がとっても楽になりました(^。^)

(Y.A. さん)


みなさんのご感想も yuriko@littlesounds.com にいただけると、とても嬉しいです!

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