解剖学とアレクサンダー・テクニークと、体の感覚と認識

アレクサンダー・テクニークのレッスンに継続して来られているTさんが、感想を送ってくださいました。

アレクサンダー・テクニークのレッスンは、生徒さんの問題意識や、生徒さんのそのときの状態によって、アプローチのしかたも、結果として得られるものも、少しづつ違いますが、たとえばどんな感じなのか、多様なレッスンの一端を知る手がかりとして、ご本人の許可を得て掲載させていただきます。

 「長年、自分の身体が重くて疲れやすかったりしたので、いい年齢になって、何か手に職をつけたいと考えたとき、整体やアロママッサージの道を選びました。しかし、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受ける前は、学校で学んだ人体の骨格や解剖学について、他人の身体を観るとわかるのですが、いざ自分自身の身体となると、肩甲骨や骨盤ががどこにあるかとか、頬やアゴはどのへんなのか…等などがまったく実感できず、わからないままでおりました。人には、ここが肩甲骨で…などと語りながら自分の身体の上では捉えられないもどかしい感覚に悶々としていたところがありました。


アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けてきた現在では、自分の身体~胴体はここで、首はここ、等…を、やっと感じられるようになり、それがさらに自分自身の安定感として感じられ、嬉しく思っています。

 私のような、感覚的な悩みが、具体的な指導でもって解決されていく方法があるなんて…もっと早く出会っていたら楽に生きて来れただろうと思うと涙が滲むこともありますが、今出会えていることに感謝しなくては、とも思っています。(Tさん)

アレクサンダー・テクニークのレッスンのなかでも、体の解剖学的なこと~体についての地図(ボディ・マッピング)を扱うことがありますが、一般的な解剖学と違うのは、知的な知識だけではなくて、自分の体で認識する、ということを大事にしているところです。

図や、スケルトンモデル(骸骨人形)を使って解説することもありますが、それで終わりではなく、自分で動いてみること、触れることなどを使って総合的に、認識と感覚をつなげられることを目指しています。

その人によって、認識しやすいところもあれば、なかなか認識しづらいところもあるでしょう。感覚と認識の回路が少しづつつながり、認識できる範囲が増えたり、深まっていくと思います。それにつれて、体の動きがよりしなやかになっていったり、より生き生きと、そしてリラックスできるようになったりしていくことが多いです。

体について、頭ではわかっていたつもりだったにもかかわらず、おかしな思い込みがあったことに気づくこともあります。それは、笑ってしまうような思い込みだったりもします。「ああ、こんなふうに思いこんでいたのだな」と、気づくだけで、体や、動きが変わったりすることがあります。

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