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ギタリストの方とのアレクサンダー・テクニーク・レッスン

私は個人的にギターという楽器がとても好きなので、ギタリストの方とのレッスンがとても好きです。クラシック、ポップス、ジャズ、ボサノヴァ、ハワイアン、アイリッシュetc. さまざまな民俗音楽etc. いろいろな奏法のギターを弾く方が来られ、ギターってほんとに多彩な表現ができる楽器だなあと思います。

ギタリスト
illstrated by Pantaya

しかしギターを弾いていて、指や腕を痛めてしまったり、腱鞘炎になったり、首や肩の痛みや、腰痛に悩まされる人も少なくないようです。「職業病みたいなもんでしょうね」と言われることもありますが、痛みが避けられないものと考えてしまうのは、あまりにもったいないと私は思います。長く、できれば一生かけて演奏を楽しみたい、と多くのミュージシャンが思っているはず。痛みからは解放されたいですよね。
ギターを弾き続けながら、痛みから解放されることは可能だと、いろいろなギタリストとレッスンしてきて私は確信しています。

そのためには必ずしも、弾き方、奏法、スタイルを変えなくてもよいかもしれない。同じスタイルのまま、見た目では違いがわからなくても、弾くときの体の使い方の質が変わることは可能で、それによって、同じことを弾くのであっても、楽さ、伸びやかさ、自由さ、力強さが生まれてきます。

そしてギターの音色により深みが増したり、音色がよりクリアになったりして思うような表現ができるようになる。またリズムがよくなる、というようなことが起こるのです。

同時に、ギターを弾いているとき以外の日常生活にも、楽さやしなやかさが増してきたりします。

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初心者の方で、まだ自分の弾き方のスタイルが定まっていないときにアレクサンダー・テクニークを学びつつ、ギターを学ぶのもお勧めです。上達が速くなるし、無理して弾く癖がついてしまわないためにもなります。

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ギタリストの人のためのアレクサンダー・テクニーク・レッスンは、楽器を持たないところのレッスンと、楽器を持ってのレッスンを組み合わせてやります。
たとえば「座る」「楽器をかまえる」などを重点的にやることもあれば、曲を演奏しているときにどうしているかを観るのを重点的にやることもあります。それらを両方やることが多いです。

レッスンはオーダーメイド。その人の演奏経験や演奏スタイル、めざすところ、どこで悩んでいるか、弾いているとき以外どうしているか、などによって違ってきます。

参考までに例として、私がギタリストの方のアレクサンダー・テクニーク・レッスンのなかでよく言っていることのうち、言葉だけでもある程度参考になるかなと思うことを、メモ的に書いてみます。

座るという動きを見直す
・座るというのは、固定した姿勢だと考えられることが多いが、「座るまでの動き」によって、座る姿勢が心地よいか、安定しているかどうか、などが決まってくる。
「座ってしばらく弾いているうちにだんだん姿勢がくずれてきてしまう」という人には特に大事。
・立っているところから座る動きを見直す~胴体を縮めないで座る。上向き方向を思いながら座る。

セミスパイン~建設的な休息
・床やテーブルの上で仰向けになる、「セミスパイン」といわれる姿勢で休む。背中全体を重力にサポートされることで、背中全体の長さ、広さ、厚み、を思い出す。それによって腕が背中からつながっていること、サポートされていることがわかりやすくなる。
・アレクサンダー・テクニークで背中というときは、骨盤も含める。骨盤の底まで含める。(骨盤がとても重要)。

Illustrated by Pantaya  肩甲骨から指先までの長さをイメージしてみましょう。
Illustrated by Pantaya 肩甲骨から指先までの長さをイメージしてみましょう

腕は背中からつながっている.
・肩から先だけが腕だと思っていると、腕を実際より短くしか使えない。それが肩こりなどの原因となったり、弾く姿勢が前のめりになりすぎてしまう原因となることがある。
・肩甲骨から指先までの長さをイメージしてみる。

胴体の側面を思い出す。

指先で弦を押さえる感触、弦を動かす感触を再確認。
指先の感触が体全体~頭まで伝わる←→頭から指先に。
弾きたい音に必要十分な動きを体全体で表現しようとしている。それが自然な体のしくみ。それをじゃまするのをやめるだけ。

弦を、指先だけで押さえない。
・直接的には弦を押さえるのはもちろん指先ですが、指先で弦を押さえるために、ひじから全体を使う意識をもつ。
・体に近いポジション(ハイポジション)を押さえるときも、腕を長いまま使う。腕を縮める必要はない。長い腕のまま、ひじの角度によって、手を近づけることができる。
・押さえるポジションを覚えるとき、指や手の形だけでなく、ひじの角度も含めて覚えるようなつもりで。ひじの自由さが大事。

illustrated by Pantaya
illustrated by Pantaya ギターから離れて、ひじを曲げて、前、後ろに動かしてみましょう。当り前の動きのようで、こういう動きができることを忘れていたかもしれません。

バレーコード(セーハ)を弾くとき
・人差指で全部の弦を押さえるので、人差し指をまずネックに持っていきがちだが、そこをあえて、小指のほうから手を動かしてポジションを見つける。(小指で弦を押さえない場合であっても)
・バレーコード(セーハ)のときも、ひじの角度が大事。ひじを前に出したり、後ろに下げたりすることで、押さえやすい位置が見つかる。

右手~カッティング/ストロークするとき
・下向きにストロークするときも、体の中心では上向きの流れが起こっている。それが腕を振る動きにつながる。体の中心から手の先へ。

自分を固めるのをやめる。
必要があればポジションを固定することはかまわないが、そのために体の筋肉や関節は固めない。いつでも動ける状態で、静止している

楽器におおいかぶさらない。自分が中心にいて、自分の中心から楽器を迎えに行く。

自分の手をみるとき、共演者を見るとき~眼球で見ているのではなく、脳で見ている。
・これは抽象的に聞こえるかもしれませんが、からだに即した話です。
・自分の手を見たりするときに「頭の後ろ(=脳)で見ている」ことを思い出すことで、前のめりになりすぎなくなる。
・眼球は光の情報をとおすだけで、その情報は視神経から脳まで運ばれている。頭の後ろにある脳の視覚野で人はものを見ている。
・共演者を見たり、楽譜を見たりするときも同じ。

楽器(楽器ケース)の運び方を見直す。
・「演奏するときより楽器を運ぶときのほうが、実は疲れやすく、ストレスなんです」と伝えてくれたギタリストの方がいました。それで、肩にケースを背負ったり、手に持ったり、持ちあげたりするときの負担のない「自分の使い方」を、アレクサンダー・テクニークの原理を使って一緒に見直したら、その後、楽器を運ぶことによる疲れがとても減ったそうです。

弾こうとしている曲を、自分はどう表現したいか?
その意図を明確化して、体がそれを表現。
自分がイメージしている音を出すためには、動きさえ改善できればいいわけではありません。ただ、動きが自由になると、生き生きとした、実感をともなったイメージを持ちやすくなります。(一方で逆に、いつのまにか意識が一点集中になりすぎていることによって、体の動きを制限してしまっていることもあります)。

そこであらためて、弾く前に、自分が表現しようとしている情景や感情、色合い、時間の流れなどを思い浮かべてみましょう、視覚化、映像化してみましょう。それでさらに動作を意識する。その相互作用があることで、さらに自由に表現されてくるものがあります。

首を自由に。
上記に書いたようなことを意識しながらも、「首を自由に」ということに、ちょくちょく戻ることが大切です。
首が自由であることが、体全体を生き生き使うための大事な要素です。

レッスンのなかで、その人その人の状況に応じて、上記に書いたようなことを、実際に体験しながら探ったり確認したりして、それを、その人のギター演奏や、生活に生かしていきます。
(その人その人によって、必要な情報は違います。要らない情報は忘れてOKです)。
からだに対しての意識の向け方が変わることによって、今まで体験したことないような感覚が生じることもよくあります。そして結果としてパフォーマンスにも大きな違いが生じたりします。

自分の場合はどうかな、と、興味のある方はぜひ体験してみてください。


アレクサンダー・テクニークlittlesoundsでは、東京と神奈川で個人レッスンを、それぞれ週に3日づつ行っています。
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