カテゴリー別アーカイブ: 呼吸、声、うたうこと

うたと私と、アレクサンダー・テクニーク

私にとっては、たまに人前で歌うということを自分に許せるようになったのは、アレクサンダー・テクニークとの出会いが大きかった。

歌は子どものころから好きだったし、合唱などは機会があればしていたけれど、ひとりで人前で歌うのは、まず「声が小さい」「聞こえない」と言われること、それに、そもそも「人前に立つ」こと自体が、私にはとても難しいことだった。

でも合唱でなくて、ひとりで、(あるいはひとりづつ違うパートで数人というのも好き)歌うことが、したかったのだ。

大学のときにブルーハーツという人たちを知って、あこがれたなあ。あんな風に歌えたらと。

でも、どうしたって、キャラが違って、あんなふうにはなれなかった。

自分じゃないものになろうとしても、よけいに緊張するばかりだった。

まず自分のあり方、自分の声、自分の体、自分のキャラクター、そういうものを認めて、そこから歌う、ということが、できるようになる必要があった。

それは、技術じゃない何かだった。

「声が小さい」のは、緊張とのつきあい方がわかってきたことと、体のなかのつながり、全体性についてが、わかってきたおかげで、昔よりもましになったけど、いまも声量があるとはけして言えない。だけど声量の”量”はなくても、自分の内と外で共鳴するものを届けることができるということを知った。

うん、やっぱり、もっと歌いたいな!
自分のままで。

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うたうレッスン

きのうの町田でのアレクサンダー・テクニーク・ワークショップでは、
「音楽が好きで、うたがうたいのだけど、何からはじめたらいいかわからない」という方がいらしていました。
「昔とくらべて全然声も出なくなっちゃったから、ボイストレーニングからはじめたほうがいいのかしら?」なんて。
私は、どんな曲が好きなのか、聞いてみたら、しばらくは、「全然自分は歌えないし…」などと言われていたが、アイフォンに入っている曲を聞かせてくれました。

まずはその曲を歌ってみたらいい。歌っているうちに、声も出るようになってくる。まずは自分自身のために、録音に合わせてでよいので、何度も歌うといい。録音に合わせて、あるいは、音が高すぎるなら、歌いやすい音の高さに変えて、アカペラで歌ってもいい。

「声が出ないから…」と言われていたが、歌っていただくと、あともう少し、
歌うことへの躊躇がなくなって、がんばりすぎが少なくなったら、高い声もちゃんと出そうな感じでした。
後半になるほどに、声も出てきていて…。

コツは、「出そう」とがんばるかわりに、自分のなかの声の通り道を意識すること。

声は、口だけで出すものでも、喉だけで出すものでもない。
体全体で出すもの。

空気は、肺にある。(肺はけっこう大きい。後ろのほうまである)。声を出そうとしたら、肺の空気が上へと押し出されてあがっていって、口腔(口腔もけっこう大きい。鼻の奥まである)まで届いて、それから唇から外に、前方に出ていく。

体の中、広い範囲を上向きに動いてから外に出る。
そして空気は体の中を、けっこう幅広い空間を通っていく。

そんな、空気の通り道を意識すると、空気の動きがスムーズになる。喉が振動することも邪魔しなくなる。

—–

さらに、体にそなわっている、空気を送りだすための筋肉がスムーズにはたらくために、モンキーの姿勢になってみて骨盤を思い出したり、手や足を動かすことも、やってみて、また歌ってもらいました。
声は少しづつ、もっと出るようになってくる。

—–

こんなレッスンも、アレクサンダー・テクニークのレッスンのなかでやることがあります。毎回、アイフォンで曲を流しながら歌う方がいらっしゃいます。

うまく歌うかどうかよりも、自分のなかにすでにある声を、うたとして表現する。それは、案外すぐできることだったりするかもしれません。

「歌が好きだったはずなのに、どう歌ったらいいか、わからなくなってしまった」という方、「歌は好きなんだけど、苦手で…」という方は、まずは、誰かの評価を気にしなくていい、ひとりでもできるところから、はじめてみるのもいいと思います。それは、自分の体全体を生き生きと使うことにもつながります。

アレクサンダー・テクニークのレッスンのなかでやるときは、私もそこにいるわけですが、私は歌の上手下手を評価する役割はないので。その人全体を、どうやったら、やろうとしていることに生かせるかを、一緒に探すお供です。

うたに関してはとくに、私自身、「歌が好きなのに声が出ないから…」という、自分自身に対する認識が、アレクサンダー・テクニークに助けられて、変わったので、それをほかの人にも伝えられるのは嬉しいのです。

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呼吸と発声

みなさんこんにちは
ずっと書こうと思っていた、レッスンでもよく出てくる呼吸と発声のことを、書いてみました。

歌う人にとっての声と、管楽器奏者にとっての呼吸は、どちらも、音楽をつくる媒体としてとても大事なものですね。また直接的に声や呼吸のことを、ふだん意識しない人も、もちろん、常に呼吸はしています。

呼吸は、動きです。呼吸の動きをおおまかに理解しておくことは、体を固めることを抑制したり、手足の動きをより自由にするために、また、精神的な緊張をほどくために、そして、音楽のリズムを体現するために役に立つでしょう。

空気を声にしたり、楽器へと送りこむとき、その空気はあなたの体のなかからどういうふうに外に出ていくか、まずはそこから見ていきたいと思います。

まず、肺の中にある空気を声にしたり、楽器に吹き込みたいとき、そのときの空気が通っていく道筋と、体の動きを見ていきましょう。歌う人の例でみていきますが、管楽器を吹くときも、話すときも同じ流れです。

声を出すとき、息を吐くときの、体の動きと呼吸の動き

まず、今、肺に空気があるとして、吐くほうから見ていきましょう。
肺は、とても大きなものです。フレキシブルな鳥かごのような肋骨に守られて、胸骨のすぐ裏から背中の後ろまでの奥行があり、高さも、上は鎖骨のあたりから、肋骨の一番下あたりまであります。肺は袋のようなもので、それ自体には動ける筋肉はありません。

声を出そうとすると、肺の下全体にある横隔膜やそのほかの筋肉(腹筋や背筋や、さらに下の、骨盤底の筋肉まで)が動いて、肺の空気が上に向かって送り出されます。送りだされた空気が気道を通って、声帯を振動させながら、首の内側にある気道を抜けて、口腔に届き、そこから前方に、外の世界に出ていきます。

息を吐こうとする動きは、体の中では、まずは上向きの流れです。
上向きにどこまで行くのでしょうか?唇まででしょうか? 実は、空気は唇よりさらに上まで届きます。声を出すために開いた口よりさらに上まで、鼻の奥あたりまで空気が届いてから、外に出ていきます。口の中、口腔は、鼻の奥ぐらいの高さ、奥行きは耳のすぐ前あたりまであります。口腔の大きさを思ってみましょう。
002ささやくアーのときの胴体の絵の唇半開き

体の外に出た声は、あなたが意図すれば、部屋の一番後ろまで届けることもできるし、屋外なら、さらに遠くまで届けることもできます。
まずは、肺~気道~口腔~体の外 という空気の流れ全体として、声を出すことをとらえ、出ていく空気の通り道を邪魔しないことを思うと、それだけで声が自然に出しやすくなります。

息は自然に入ってくる

今、吐くほうから見ていきました。しかし、吸うことのほうが気になっている人も多いかもしれません。実は、息が続かないと悩んでいる人には、吸えていないというより、吐けていないというケースが多いのです。吐く息の流れをどこかで抑えてしまって、吐ききれていないので、吸うほうもうまく吸えなくなっているということが多いのです。まずは、スムーズに吐くことを意識してみましょう。

息を吐いて、それをやめると、肺を収縮させていた筋肉群が、瞬時にふっとゆるんで収縮から戻ります。すると、胸郭の中が広くなり、肺に空気が自然に入ってきます。息を吸う動きは、筋肉がゆるむ動きなので、がんばって吸おうとしすぎないほうが、スムーズに入ってくるのです。

歌う人、声を出すと、発声トレーニング

歌を歌っている人のなかで、発声、ボイストレーニングを受けてきた人と、トレーニングを受けずに歌っている人がいるでしょう。
トレーニングを受けない人は、受けない理由として、声の個性を失いたくないということを挙げる人がいます。自分が出したい声を楽に出せているなら問題ありません。そうでなくて、今ひとつ思うような声が出ないという人や、喉を痛めがちな人は、上にあげたような発声のしくみと流れを認識して、その自然の動きを邪魔せず声を出すことを意識すると、助けになると思います。大きい声や高い声を、喉だけで出そうとしていると、喉を酷使して痛める原因になることがあるからです。また、声がすぐに枯れたり、声が伸びない、声のボリュームが出ない、というような悩みがある場合も、体全体の自然の動きを邪魔せず声を出すことで、解決することが多いと思います。

発声トレーニングを受けてきた人で、それでも発声がうまくいかないという人は、その体の意識が部分的になってしまっているケースが多いです。
また、コントロールしようとしすぎると、自然に動く動きをかえって止めてしまうことがあるので気をつけましょう。それでかえって体を固めながら声を出す癖がついてしまう人がいます。そうすると出る声が苦しそうな声になってしまい、実際、本人も苦しくなってしまいます。そして、声の質や音程をふくめ、かえってコントロールできなくなってしまうのです。
空気が声になって共鳴して響くまでを、体の中を上向きに行く流れとしてとらえてみましょう。そうすると、体のそれぞれのつながりが取り戻ります。

「腹式呼吸」の落とし穴

「腹式呼吸」をしようとして、腹筋の一部だけを動かそうとして、かえって腹筋を固めて使ってしまい、自由な動きが起こりにくくなってしまっていることがあります。
腹筋を使っていることと、腹筋を固めていることは、違います。腹筋は、固めないほうが、使うことができます。お腹の動きは、直接動かそうとして動くのではなく、体全体の動きの結果として動きます。
息を吐こうと思うと(声を出そうと思うと)、体のシステムがそれに反応して、腹筋を含めそのまわりのたくさんの筋肉が総動員されて、肺の空気を上に向かって送り出してくれます。


出したい声、出したい音を出すために(音程、音量、音の長さ、音の質)

まず、どういう音程で、どういうリズムで、どれくらいのボリュームで、どこに届く、どういう声を出したいかの意図が明確であれば、それに体のシステムが反応してくれます。
ですから、

1.出したい音のイメージ/意図を明確にすること
2.体のシステムのはたらきを邪魔しないこと

が、まず大切です。直接あなたが体をコントロールして声を音を出すというより、あなたがするべきことは、明確な意図をもつことで、あとは体にまかせることが大切です。
その点を意識するだけで、出したい声、出したい音が出せるようになったという人は、とても多いです。息がもっと続くようになったり、声がもっと大きく出るようになったり、声の質がよくなった、という人がたくさんいます。
今までに見てきたことが、そのためのヒントになればうれしいです。

もうひとつ必要なのは、体全体の自由さです。
歌うとき、楽器を吹くときに、お腹のことは意識していても、背中や骨盤、お尻、胴体の側面などは意識に含めていない人が多いです。胴体全体を、背面も下も含めて立体的なものとして認識して、胴体は、下は骨盤の底まであると考えましょう。骨盤の底の筋肉も、息を吐く動きに参加して一緒に動きます。ふだんから、骨盤の底までを一つの胴体として使う習慣をつけると、声のボリューム、音の大きさが出しやすくなり、コントロールしやすくなります。

・背中や、骨盤の底までを含めた胴体全体を縮めないで使っていること
・股関節が自由なこと(股関節の自由さと、胴体の自由さは関連しあっています)。
・腕が自由で肋骨の動きを邪魔していないこと

を、歌うときや、楽器を演奏するとき、そして、ふだんの生活のなかでも意識してみるとよいです。

アレクサンダー・テクニークlittlesoundsのサイトはこちら

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声を出す

アレクサンダー・テクニークのレッスンで、楽に声を出せるようになりたい、と言われる方が多くいらっしゃいます。

たとえば、

・話すとき、緊張してうまく声が出ない。

・声が小さい。

・話すときの声が、どうも、つまっているようで、自分であまり気持ちよくない。

・長く話したり、人前で話すと、後で喉が痛くなる。

・歌が好きなのだけど、歌うとき気張ってしまう。スムーズに声が出ない。

・歌うときに、声が思うようにコントロールできない。

というような悩みを、話してくださいます。

声を出すことに慣れていて、あるいは、今までに発声や声楽のトレーニングを受けてきたけれど、いまひとつ納得ができるところまでいかない、という方々もおられますし、声を出すことに慣れていなくて、声を出すことに自信がない、という方々、そして、普段は大丈夫なのだけれど、特定の状況になると、声が思うように出なくなる、という方々も、いらっしゃいます。

私自身も、小さい頃から声を出すことが苦手だったので、よくわかります。

声を出すことについてはアレクサンダー・テクニークはとても助けになりました。

レッスンで、直接的に声を出すことをやらなくても、声に変化が起こることは多いです。私自身も20代のとき、最初にアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けはじめた頃、それにはびっくりしました。立ったり座ったりするレッスンをしただけなのに、その後、人と話をする自分の声がすごくスムーズに出ていて驚いたことがあります。

でもレッスンの中で実際にやると、やっぱりわかりやすいので、直接、レッスンで声を出してもらうことも、うちではやります。

「アー」と発声する、歌を歌う、話をする、本を読んだりセリフを読む、など、状況に応じていろんなことをやります。

では、声を出すときの、呼吸の方向性を見てみましょう。

声を出すというのは、口や喉だけではなく、全身の動きです。

声を出そうとすると、その衝動が体に伝わって、肺の空気を上向きに押し上げ、運び上げようようとする動きが起こります。肺の中の空気を、肺の下の横隔膜やさらにその下の筋膜、筋肉~骨盤底の筋肉も総動員して、ポンプのように上向きに運び上げる動きが、自然に起こってきます。

声を出す動きは、上向きの動きなのです。

胴体の一番下から、ダイナミックな上向きの動きが起こってきます。

そして肺から出た空気は首の前面をとおって、声帯をふるわせ、さらに上に行きます。

あごの中に来ると、けっこう広さがあります。

口元だけでなく、頬骨も、あごの骨の一部です。左右の頬骨~鼻のあたりまで、口の中のスペースはひろがっているのです。その広いスペース全体に空気は届いて、鼻の高さぐらいにある、上あごの天井まで届いて、そこから前に出て行きます。

口をあけると、下あごは頬骨から下に下がりますが、上あごの天井の高さは変わりません。

口を大きくあけて声を出すと、上あごの天井から下まで立体的なスペースから、空気が外に出て行きます。

声になった空気が、あなたが届けたいと意図する方向に、届いていきます。

話しかけたい相手に向けてだったり、場の全体に向けてだったり、そのときどきの目指すところに届いていきます。

声を出すというのは、直接的には、呼吸が声帯をふるわせるという動きですが、それが起こるための動き全体を考えてみると、なんともダイナミックな動きです。

体のなかを、まず下から上に動いてきて、それから外に前方へ、そしてあらゆる方向へと出ていきます。
声がうまく出せないという人は、声を出そうとするときに、気づかず何かをやりすぎていることが多いです。

やりすぎをやめることで、声を出そうという衝動に体が呼応する動きを邪魔しなくなれば、楽に声が出せるようになることが多いです。

でも、ただ、「やりすぎていたので、それをやめよう」と思うだけでは、難しいかもしれません。

そんなとき、 声を出すという動き全体のイメージをもってみると、助けになるかもしれません。

動きの方向性を意識してみると、何をやりすぎているかにも気づきやすくなり、やりすぎをやめることもやりやすくなります。(何をやりすぎているかは、いろいろなケースがあり、人によってさまざまです)。

あるいはもう、そういうことを特に意識しなくても、すでに声が楽に出ているかもしれません。

声についても、もっといろいろ書けそうですが、今日はこのへんで。

(おまけ) よく、大きい声が出ないのは、安定した声が出ないのは、腹筋が使えていないからだ、と言われますが、腹筋を使おうと、お腹の一部をへこませるだけでは、あまり呼吸の動きの助けにはなりません。そんなときは実は腹筋も使えていないのです。逆に、余分な力をいれて固めているだけになってしまっています。そうするかわりに、上向き方向を意識して、体にまかせると、結果的に腹筋も、うまく使えるようになっていることが多いです。

アレクサンダー・テクニークlittlesoundsでの、アレクサンダー・テクニークのレッスンのスケジュールはこちらをご覧ください。

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ささやく”アー”(ウィスパード・アー)と、呼吸について

F.M.アレクサンダー(アレクサンダー・テクニークの創始者)が開発したプロシージャーに、ウィスパード・アー(whispered ahh / ささやく”アー”)というのがあって、私のレッスンでもよくやります。

ごく簡単に紹介すると、

・目でほほえんで、
・上あごから下あごをぶら下げるように、口をひらく
・息を吐きながら、”アー”の音を、音を立てずに、ささやく

というようなことです。

このときに、息を吐く前にわざわざ吸い込まなくてよいです。今ある息を吐くだけでよいです。
また、息をすべてしぼりだそうとしなくていいです。

よく、息をたくさん吐こうとして、吸い込みすぎたり、吐こうとしすぎたりしている人がいますが、
それは逆効果になっていることが多いです。

そんなことをしなくても、長く息を吐くことも、大きく吐くこともできます。
これはだんだん、やるうちに、わかってくると思います。
息を吐いたり吸ったりすることがこんなにラクだったかと、驚く人も多いです。
でも、はじめからたくさん吐こうとしなくてよいです。

そうやって吐けると、吸う息も自然に入ってきます。
吐き終わったら、いったん唇を閉じておいたほうがいいかもしれません。

ささやく”アー”でも大事なポイントは、脊椎に沿って、上向き方向を思うということです。
(アレクサンダー・テクニークのレッスンではこのことは繰り返し出てきます)。

意外と、息を吐こうとするときに、ぐいっと体を押し下げながら、一生懸命吐こうとしている人が多いです。

でも、実は呼吸の動きは、上向き方向の動きなのです。

まず、肺に空気が入っていますね。肺はすごく広く、奥行きも奥まであり、大きなものです。
肋骨に守られて、前から後ろまであります。

しかし肺の筋肉は不随意筋しかなく、自分で空気を押し出したり、動かすことはできません。
肺の下に横隔膜があり、さらにその下に、いろいろな筋膜や筋肉があり (骨盤底の筋肉なども呼吸のために大事な働きをしています)、それらすべてによって、肺の空気は下から支えられながら、ポンプのように、上へと押し上げられていきます。

空気は肺から上に出て行き、首の前面の管の通り道をとおって口腔にむかってあがっていきます。

口腔は意外と広くて、頬の奥、鼻の奥まで、奥行きも、高さもあって立体的です。
(広げようとしなくても、そもそも広いです。ただそれを認識するだけでよいです)。
その広い口腔の部屋全体に届いた空気が、今度は口から出て前に出て行きます。

つまり、空気は上向きに動いて行って、鼻の奥ぐらいまで上に行ってから、前に出て行きます。
それを支えて動かす筋肉の動きも、上向きの動きです。

上向き方向を思うことにはもうひとつ利点があります。
息を吐くことを気負いすぎたり、または別の理由で緊張していて、首を縮めて、息の通り道をふさいでしまっている場合も多いですが、上向き方向を思うことで、そういう癖や状態も、抑制しやすくなります。息の通り道をひらく助けになります。

私のレッスンでは、ささやく”アー”をやりながら座ったり立ったりしてもらうこともあります。
これをやると、
「動きやすいです」
という人と、
「呼吸がしやすいです」
という人がいます。

ささやく”アー”をやることによって、上向き方向の意識ができるので、それが動きのサポートになって、動きやすくなるし、下半身も全部含めて動くことで、体全体の動きの意識ができて、呼吸がしやすくなります。そういう相互作用があります。

呼吸は、体全体の、ダイナミックな動きなのです。

でも、そのダイナミックな動きは、体のシステムがいつもやってくれていることです。
私たちにできることは、それを邪魔しないことです。

ささやく”アー”のプロシージャーも、そのような体のシステムのはたらきを邪魔しないことを学ぶ方法の一つだとも言えると思います。

ささやく”アー”は、ほかにもいろいろなことに役に立つし、いろいろなことに応用できます。
緊張をほぐすためにも役に立つし、声を出すことにも役に立ちます。
私のアレクサンダー・テクニーク・レッスンでは、ささやく”アー”に、声をつけてみる、ということも、ときどきやります。そのようなことについても、いずれまた書けたらと思います。

アレクサンダー・テクニークlittlesoundsでの、アレクサンダー・テクニークのレッスンのスケジュールはこちらをご覧ください。

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